就職氷河期世代に支援あり!?引きこもり生活から脱却する方法
ニートや引きこもり。
非正規労働者の増加や少子化問題。
日本が長年抱えてきた課題ですが、これらのキーワードが飛び交うようになったのはバブル崩壊後。
その当時、就職活動をした世代は「就職氷河期世代」と呼ばれており、この年代が抱える様々な問題がクローズアップされています。
その背景にあるのは、バブル崩壊後の政策の失敗、企業体制などの社会構造の問題です。
でも、なぜ今その時の話をするのか・・・彼らが高齢化した時に“国の財政”を圧迫する可能性が出てきたからです。
だから今、政府は国を挙げて真剣にこの問題に取り組もうとしています。
その支援策というのが「就職氷河期世代就職実現総合プラン」です。
このようにネガティブな理由で生まれた支援策ではありますが、思うようなキャリアを築けなかった人々にとって最後のチャンスになる可能性も。
今回はこの制度の中身や活用方法を紹介します。
就職氷河期時代の背景なども詳しくまとめているので、時代を読み解くヒントにしていただければと思います。
就職氷河期世代に支援あり!?引きこもり生活から脱却する方法
就職氷河期世代とは?年齢は?
就職氷河期世代って何?
「就職氷河期」は新卒の有効求人倍率が1%を切るなど、就職活動が非常に厳しかった時期のことを言います。
時期的にはバブル経済が破綻した1990年後半〜2000年前後で、同時期に就職活動を行った30代半ば〜40代半ばが「就職氷河期世代」です。
その人口は約1,700万人。
そのうち非正規や無職は約400万人いるとのこと。
この年代は「様々な苦悩を強いられ、努力が報われなかった」という意味で“失われた世代”(=ロストジェネレーション)とも呼ばれています。
今なぜこのロスジェネ世代が問題視されているのか?
ロスジェネ世代の問題点は非正規雇用や無職の割合が突出していることです。
今は親世代の年金や預貯金を頼りに暮らしている人も、いずれは自身の少ない年金で暮らすことになります。もしくは年金がない人もいますね。
そうなると、生活保護受給者が増加して、財政負担は「約20兆円になる」と試算されました。
この結果を見て、「ロスジェネ世代への支援を強化しよう」と政府が本腰を上げたのです。
就職氷河期世代が生まれた背景
就職氷河期世代が生まれた背景は「国」や「企業の体制」にあります。当時、どういったことが起きていたのかを見ていきましょう。
就職氷河期に企業側が抱えていた様々な問題
バブル崩壊後は経営状態が厳しく、銀行からの融資が受けられないなどの問題で倒産に追いやられた企業が多数存在しました。
どうにか生存した企業も、人件費削減のために新卒採用を減らして対処。日本従来の雇用システムである「年功序列」や「終身雇用」を守ろうとしたため、新しく人を雇い入れて育てる土壌は整っていませんでした。
ロスジェネ世代の現状
就職活動は困難を極め、優秀な学生でも何十社受けても「一向に採用されない」という状況が続いていました。運よく正社員になれた人、起業して成功を収めた人もいましたが、非正規社員として不安定な生活を強いられてきた人が今でも沢山います。つまり、同年代でもかなり格差がある状態が今も続いています。
国策の失敗!ロスジェネ世代を創りだしたのは・・・
同年代の問題点が今現在まで持ち越されてしまったのは、明らかに「国」の問題です。
政府や経団連は同年代の雇用や生活が上手くいかないことを「自己責任」と切り捨て、問題から目を背けてきました。
さらには、小泉政権の構造改革で非正規雇用の拡大が進み、「安くて便利な労働力でも会社は回る」という価値観を、企業に植え付けてしまったことにも問題があります。
【ポイント】
雇用の問題は本人たちの自己責任では片付けられないもの。
社会構造の歪みで犠牲となった世代を救済するのは「国」の務めだと言えるでしょう。
就職氷河期世代の特徴
二極化するロスジェネ世代の働き方
就職活動の厳しさや職業選択の難しさを噛み締めている世代。資格取得やスキルアップに前向きで、仕事ができるバリキャリ思考の人も多数。一方、派遣社員や契約社員で食いつなぎ、生活への不安を感じている層も。このように二極化が進んでおり、前者が後者を「自己責任」と切り捨てるなど、同世代間のギャップも健在しています。
ロスジェネ世代の貯金思考
親世代はバブルを経験していますが、ロスジェネ世代は雇用や収入の不安に直面した世代なので「お金は手堅く貯めておこう」という人が多いようです。
ロスジェネ世代の結婚観
雇用が不安定で「自分の生活でやっと」という層は結婚には消極的。未婚率が増加したのも同年代からです。家を買ったり、結婚して子どもを持ったり。普通の幸せを夢見ていたけれど、「現実は厳しかった」という声も多かったです。
就職氷河期世代が被った苦労TOP3
第一位
仕事に就けない
新卒から一貫してキャリアを積み重ねるのが日本の雇用システム。新卒時に正社員になれなかった人々のキャリアは断絶されがち。求人市場が盛り上がってきた頃には、年齢制限で弾かれてしまって中途採用での転職も厳しかったです。仕事が安定しないので、生活も安定しない。そんな、悪循環に陥っている人が今でもたくさんいます。
第二位
結婚できない
非正規雇用で安定した職に就けない就職氷河期世代は、自分ひとりで生活を送るのもやっと。適齢期になって結婚したくても、結婚や子育てに伴う金銭的な余裕がないため「未婚化」が進んでいます。とくに、非正規で働く男性のシングル化は顕著。
第三位
長時間労働、サービス残業
働き方改革という言葉はなかった時代。正社員になっても、長時間労働やサービス残業など過酷な労働を強いられた世代です。上司からのパワハラやセクハラも今より問題視されていませんでした。今とは違って、女性にとって働きやすい時代とは言えませんでした。
就職氷河期世代就職実現総合プランの中身
ロスジェネ世代の雇用を安定化させる
ハローワークや大学等と連携をして、3年間でロスジェネ世代の対象者の半数の雇用を安定化させると具体的な目標を定めました。IT等の能力開発プログラムも行うそうです。
中途採用等支援助成金の要件を緩和
現在の要件では対象者がかなり限定的なので、要件を緩和して対象者を増やすようにするとのこと。助成金がおりれば、企業も積極的にロスジェネ世代を採用するのではないかという見通しです。就労体験(インターンシップ)も推進するとのこと。
地方への人材移動
仕事を求める求職者と人手不足の地方企業をマッチングさせ、移住を促進するとのプランも。「全国の最低賃金を一律にしよう」という話が出ていたのはこのため。
就職氷河期世代が再就職する時のメリット・デメリット
【メリット】
人材不足の解消
少子高齢化の影響で働き手が減っています。当時、就職難で理想のキャリアを積めなかった人、意欲がある人たちに労働市場に戻ってきてもらうことで、人材不足が解消されます。
ロスジェネ世代の生活の安定
不安定な雇用は「貧困」や「孤独」と密接な関係があります。雇用が安定すれば、同年代の人々の生活が再建され、家族や子どもを持つ暮らしを選択する人も増えてくるのではないでしょうか。
【デメリット】
支援してくれるのはいいけれど、「あと少し早かったら」という声が目立ちます。なぜならこんなデメリットがあるから。
定年も近いというのに・・・
就職氷河期世代の40代の場合。あと20年で定年を迎えます。「今まで散々ムシしておいて、何を今さら?」「もう頑張る気力も体力も残っていません」という悲痛な声も。
昇進の機会はどうなるの?
今まで非正規だった人を正社員にしたところで「昇進の機会はどうなるの?」と疑問視する声も。最初からずっと正社員でキャリアを積み重ねてきた人たちには追いつけっこない。そんな気持ちも芽生えてきますよね。
結婚と子ども、今からですか?
結婚や子どもを産むのには適齢期があります。その年代を過ぎて、満足のいくキャリアが持てる頃には年をとり過ぎているし定年。「家族や子どもを持つには遅い・・・」そんな声も多かったです。
就職氷河期世代就職実現総合プランを上手く利用する方法
今からでも学び直す!就労支援プログラムの有効活用
キャリアに不安がある人こそ、今が学び直しのチャンス!国がハローワークや大学と連携した就労支援プログラムを色々と打ち出してくると思うので、実際にプログラムに参加してみましょう。資格取得や実務に役立つ知識を学んだ後、そこから就職斡旋があるかも。
地方にも目を向ける
移住支援があるなら、仕事は都内にこだわらず地方で探すのも手。住まいも安定した仕事も、一度に手に入る可能性が高いです。
チャンスがあれば飛び込む
今は時代の転換期。人の動きも流動的で、ある日突然「重要なポジション」へのチャンスが舞い込むことも!そんな時に、尻込みせずに飛び込めるかが大事。前向きな姿勢と思い切りの良さが、あなたの人生を変えていきます。
今日のまとめ
就職氷河期世代に支援あり!?引きこもり生活から脱却する方法
頑張っても頑張りが正当に認められなかった時代。それが就職氷河期世代です。
景気が回復した後も国や企業は非正規や無職の人たちに、手を差し伸べはしませんでした。
だから、今日にいたるまでこの問題が続いているのです。
そういった人々も年を重ね、生活が成り立たなくなったら、生活保護に頼らざる終えません。
国の財源にも影響が及ぶことなんて試算しなくても、安易に予想ができたはずです。
「もう手遅れだ」
「あと10年早ければ」
と嘆く声はもっともですが、何もせず待っているだけではいけませんよね。
こういう支援策を上手に使いこなして、今からでもキャリアを積み重ねていってほしいです。
◉ 就職氷河期世代とは?年齢は?
・就職活動が非常に厳しかった時期のこと
・1990年後半~2000年前後に就職活動を行った世代(30~40代半ば)
◉ 就職氷河期世代が被った苦労TOP3
・仕事に就けない
・結婚できない
・長時間労働、サービス残業
◉ 就職氷河期世代就職実現総合プランの中身
・ロスジェネ世代の雇用を安定化させる
・中途採用等支援助成金の要件を緩和
・地方への人材移動
◉ 就職氷河期世代が再就職する時のメリット・デメリット
メリット
・人材不足の解消
・同年代の生活の安定
デメリット(ロスジェネ世代の声)
・定年も近いというのに・・・
・昇進の機会はどうなるの?
・結婚と子ども、今からですか?
◉ 就職氷河期世代就職実現総合プランを上手く利用する方法
・今からでも学び直す!就労支援プログラムの有効活用
・地方にも目を向ける
・チャンスがあれば飛び込む
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