少額訴訟にかかる費用と手続きの流れ!裁判費用は相手に請求できる?
突然ですが「少額訴訟」って聞いたことがありますか?
相手に請求する金額が60万円以下のケースを対象とした簡易裁判のことで、通常訴訟よりも短期間で早く終わる、低単価で訴訟を起こせるのが特徴です。
色々な制約や条件がありますが、その分メリットや使い勝手の良さは抜群。
今回は少額訴訟とは何なのかを詳しく深掘り!
簡単な手続きの流れ、少額訴訟の使い方などについて解説していきます。
何が起こるか分からない世の中。
自分の身を守れるよう予備知識をつけておくことは大事です。
周りでも困っている人がいたら、このことを教えてあげてくださいね。
少額訴訟にかかる費用と手続きの流れ!裁判費用は相手に請求できる?
少額訴訟とは?手続きは?
そもそも少額訴訟とは何?
請求金額が60万円以下の場合に利用できる簡易裁判のことを言います。基本的に1回のみで判決が出るので、何度も裁判所に足を運ぶ必要はありません。相手側が「控訴(不服申し立て)」できないのも特徴。
私の周りの身近な少額訴訟の事例
給与の未払い、業務委託で受注した仕事の報酬を回収できなかった時など
少額訴訟を起こせる事例と起こせない事例
少額訴訟を起こせる事例
・60万円以下
・証拠が揃っている
・関係者が少ないシンプルな事例
・相手の住所が分かっている
少額訴訟を起こせない事例
・60万以上
・少額訴訟の回数が年間10回を超えた
・相手が少額訴訟に応じる気がない→通常訴訟へと移行する
・相手の住所が分からない
少額訴訟の手続きの流れと手続きの詳細
【手続きの流れ】
① 訴状を提出する→② 審理・判決の連絡がくる→③ 追加書類の提出や証人準備→④ 答弁書の受け取り→⑤ 法廷での審理→⑥ 判決が出る
【手続きの詳細】
⑴ 訴状の提出
自分が住んでいる住所の管轄先の「簡易裁判所」に訴状を提出
⑵ 審理・判決の連絡
裁判所から口頭弁論の期日の「呼出状」が双方に届くので、このタイミングで相手側は訴えられたことを知ります。
⑶ 追加書類の提出や証人準備
裁判官から依頼されたら「追加の必要書類」を準備します。録音した証拠音声を文字に起こすなどの作業が必要です。
証人とは自分以外に事実を知っている人のことです。少額訴訟は1日で結果が出るので、証人がいる場合は必ず出席してもらえるようにお願いしてください。
⑷ 答弁書の受け取り
こちらの訴状に対して、相手側が「答弁書」を送ってくるので受け取ります。
⑸ 法廷での審理
テーブルを囲んでお互いに話し合う形。
最長でも2時間以内で終わる場合がほとんど。
⑹ 判決
勝ち負けが決まります。勝訴になっても、すぐにお金が振り込まれるわけではなく「分割払い」などを求められるケースも。いつまでも回収できない場合は、差し押さえの手続きをこちらから行います。
少額訴訟にかかる費用
少額訴訟を行うために必要な書類
訴状、申立手数料(収入印紙)、郵便切手、添付書類を簡易裁判所に郵送もしくは直接持っていく
⑴ 訴状正本(裁判所用)→裁判所のHPから準備
少額訴訟を行うための書類(訴状)のフォーマットが裁判所の公式HPにあります。「貸金請求」「給与支払い請求」「敷金返金請求」など、ご自身のケースに合わせて以下からDLしてください。
⑵ 添付書類
□ 訴状副本(被告用)×被告の人数分
□ 資格証明書
・法人が原告または被告になる場合→代表者事項証明書(法務局のHPからオンライン請求)
・未成年が原告または被告になる場合→戸籍全部事項証明書(市町村役場)
□ 不動産の訴訟に必要な書類
・不動産の登記事項証明書→法務局
・固定資産評価証明書→物件所在地を管轄する都税事務所(東京23区)、市町村役場
□書証(甲号証)写し:提出用の証拠書類のこと
1人で少額訴訟を行う場合
⑴ 裁判所に納める費用
・収入印紙代
〜10万 1,000円
〜20万 2,000円
〜30万 3,000円
〜40万 4,000円
〜50万 5,000円
〜60万 6,000円
・郵便費用(予納郵券代)
3,000〜5,000円程度
かかる費用=印紙代+予納郵券代
⑵ 少額訴訟執権執行(相手が支払わない時)
かかる費用=収入印紙代+予納郵券代+(法人)登記簿謄本取得費用
少額訴訟を弁護士に依頼する場合
具体的な金額は個々人のケースにより異なりますが、60万円以下の少額訴訟の場合は「弁護士に依頼すると赤字になってしまう」という声も。書類作成などを自分で行うと弁護士費用の節約に。
相談料:5,000円程度(30分〜1時間)
訴状作成費用:30,000円程度
着手金:手続きに着手した時点でかかる費用 訴額の5〜10%
報酬金:回収できた時に支払う費用 金額の10〜20%
事前調査などの費用
かかる費用=相談料+訴状作成費用+着手金+報酬金+事前調査費用など
少額訴訟で弁護士に依頼するメリット
裁判に関する諸手続きをお任せできるのが一番のメリット。プロは裁判に勝つための主張の仕方など、ポイントをしっかりと抑えているので勝訴率も高く、裁判が有利に進む場合が多いようです。
弁護士費用など手持ちの予算があって、自分で動く時間が取れないなら弁護士の依頼を検討してみてください。
少額訴訟にかかった費用は相手に請求できるのか?
日本の法律では訴訟に勝っても、かかった費用を相手に請求したり、負担させたりすることはできません。
ただし、不倫やパワハラ、痴漢、医療事故のような不法行為(故意的/過失)の場合は別。加害者側に損害賠償を求めることができます。
少額訴訟で費用倒れを防ぐためにできること
少額訴訟で費用倒れが起きるのは、どんな時なのかイメージがつきにくいかもしれませんね。
こういったことが起きるのは「少額訴訟」を起こしたのに、相手側が応じなくて「通常訴訟」へと移行した場合に起きやすいと頭に入れておいてください。
そうならないようにするには、こちらが事前にしっかりと証拠を集めておくことが大事です。そうすれば勝訴の確率が高くなります。
このような手順を踏んでいても、相手がゴネる場合は「通常訴訟」に移行になるので、費用面やかかる時間などを考慮して「訴えの取り下げ書」を提出して、裁判を終わらせるケースも。
少額訴訟による強制執行って何?
裁判で勝って、支払い催促をしても相手がお金を返してくれない時に「貯金」「給与」などを法的かつ強制的に差し押さえできる制度です。
問題はここからなんです。「何を差し押さえるのか」は自分で調べる必要があります。例えば相手の銀行口座や支店名。これはモメている相手には聞けませんよね。HPで調べたりして書類を提出します。
ただし、このような手続きをしても、相手の口座にお金が入っていなかったら意味がありません。なので、相手側が口座にお金を入れていそうなタイミングを狙って、差し押さえるなどコツがいります!
【かかる費用】
印紙代、郵便切手代、登記簿謄本取得費用など1万円前後
今日のまとめ
少額訴訟にかかる費用と手続きの流れ!裁判費用は相手に請求できる?
法律絡みの話は難しいですね。この記事を読んでもあまり実感が湧かなかったという人もいるはず。
私もこれまでは「裁判」と聞いても、悪いことをした人を裁くとか、離婚調停とか、裁判大国のアメリカの映画のシーンしか思い浮かばなかったのですが・・・
給与未払いで労働基準局に相談に行った友人が、のちに少額訴訟を起こしたと言っていて「意外と身近なことなんだ」と意識が変わりました。
あなたにはこういう目にあって欲しくないですが、起きる可能性があるという前提で知識をつけていただきたいです。
自分の身を守るためにも、大切な人が困っている時のためにも。
◉ 少額訴訟とは?手続きは?
・請求金額が60万円以下の場合に利用できる簡易裁判のこと
◉ 少額訴訟にかかる費用
・「弁護士に依頼すると赤字になってしまう」という声も
◉ 少額訴訟で弁護士に依頼するメリット
・裁判に関する諸手続きをお任せできるのが一番のメリット
◉ 少額訴訟にかかった費用は相手に請求できるのか?
・原則、費用を相手に請求できないが、不倫やパワハラ、痴漢、医療事故のような不法行為(故意的/過失)の場合は加害者側に損害賠償を求めることができる。
◉ 少額訴訟で費用倒れを防ぐためにできること
・事前にしっかりと証拠を集めておくこと
◉ 少額訴訟による強制執行って何?
・裁判で勝って、支払い催促をしても相手がお金を返してくれない時に「貯金」「給与」などを法的かつ強制的に差し押さえできる制度
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