相続税改正はいつから?基礎控除は?配偶者の優遇など主な変更点
「約40年ぶりに相続のルールが変わる」と話題になっていますね。
ただ、難しくて聞いても変更点がピンとこない・・・
なんて声をよく聞きます。
確かに専門家が説明している内容は、様々なケースを想定して話をしているので、全部が全部を理解するのは難しいですよね。
そこで今回は相続法の主な変更点をまとめて整理してみました!
相続なんてまだまだ先のことだと思っていても、家族との別れはいつか必ずやってくるもの。
そのタイミングがいつなのかは誰にも分かりません。
今のうちに相続に関する情報を少しでも頭に入れ、情報をアップデートしておくといざという時にも理解が早いと思います。
当記事をきっかけに相続について興味を持ったら、関連書籍なども時間がある時に色々と読んでみてくださいね。
相続税改正はいつから?基礎控除は?配偶者の優遇など主な変更点
相続税改正はいつから?もう始まっているって本当?
日本の相続に関する決まりは、昭和55年(1980)以降、大きな見直しは行われずに現在まで続いてきたのですが・・・
2018年7月6日 民法のうち相続に関する法律(=相続法)の改正が約40年ぶりに行われました。
相続税改正の施行の「第一弾」は2019年1月から実は始まっています!
でも、7月からと思っている方が多いのは、このタイミングで大部分が大きく変わるからなんです。相続税改正の流れをまとめたのがこちら。
相続税改正の流れ
2018年7月6日 相続税の改正が決まった
施行がスタート
【第一弾】 2019年1月13日 「遺言書」の形式の緩和
【第二弾】 2019年 7月1日 ☆大部分が変わるタイミング
・遺産分割前の預貯金引き出しが可能に
・20年以上連れ添った夫婦間での生前贈与が相続財産対象外に
・法定相続人以外の介護の貢献を金銭請求できる
・相続人以外の者の貢献を考慮する方策
・遺産分割前に処分された財産の取り扱い
【第三弾】 2019年 4月1日 配偶者の居住権
【第四弾】 2020年 7月10日 法務局で遺言書の保管がスタート
相続税改正〜配偶者の権利拡大(2020年4月1日施行予定)
短期的な保護〜配偶者短期居住権
遺産分割協議が終了するまでの間、期間限定で自宅に無償で済み続けられる権利。
長期的な保護〜配偶者の居住権の保護
配偶者が亡くなった後、住み慣れた家に暮らせる権利が一生涯保証される法律です。
配偶者権利拡大の背景
遺産相続で揉めやすいのは財産のほとんどが家や土地である場合。不動産は現金のように分けるのが難しいので、遺産分割の際に「自宅を売却して現金化」の流れになることも多いのですが、親子関係がうまくいっていない場合や後妻などの場合は、子どもたちが配偶者(母親)を家から追い出してしまうケースも出ていました。
こういったケースが起きないようにする為の法律なのですが、居住権を選択すると死亡するまでこの権利が続くそう。途中で売却したり、介護が必要な時に高齢者の施設入所が難しくなる為、慎重に判断すべきとのこと。
【ポイント】
今回の改正で注目されているのは「配偶者の権利」が拡大されたことです。簡単に言えば“妻の権利”がこれまで以上に強くなるという意味で、父親が再婚をした場合などに子どもとしては「財産をどう守るか」なども考えていかないといけません。
相続税改正〜義理の両親を介護した際、金銭で報われる(2019年7月1日施行)
相続人以外の者の介護への貢献を考慮する法律。例えば、夫の両親を介護しなければならないケースは女性に多いですが、これまではどんなに頑張っても “法定相続人”である「夫」にしか相続の権利はありませんでした。
今回の改正では、法定相続人以外の家族にも財産を請求する権利(=特別寄与料)が生じたので、相続人以外の権利が金銭的に守られるようになる見通し。
※特別寄与料を請求できる対象者
6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族
例:長男の妻やおいやめいなど。友人は対象外。
【ポイント】
金額の基準が明確ではなく、請求する権利があっても却下される可能性もあるので、介護にかかった費用や時間など証明できるように記録をつけておいて。
遺産分割等に関する基礎控除の見直し(2019年7月1日施行)
【婚姻期間】20年以上:夫婦間の自宅の贈与が相続税の計算から外れる
改正前は遺産の先渡しとして扱われていた自宅の生前贈与。今回の改正で20年以上連れ添った夫婦間に限り、相続税の計算から外れることになりました。つまり、妻は夫の死後、自宅(=住む場所)も預貯金(=生活資金)も両方取得できるようになります。
預貯金の一部払い戻し
遺産分割終了まで被相続人の預金の払い戻しができないので、葬儀費用や残された家族の生活費の負担などが大きかったのですが、今回の改正で遺産分割の協議中でも一定の条件のもと預貯金の一部払い戻しが可能になりました。
払い戻し上限額の計算
預貯金額×1/3×法定相続分
遺産分割前に処分された財産
これまでは共同相続人の一人が遺産分割の前に預金を引き出すなど、財産を勝手に処分したら、その分は遺産分割の対象ではなくなっていました。これでは不公平なので、処分したもの以外が「同意」すれば処分した財産も遺産分割の対象へと戻ってきます。
自筆の遺言書の「形式」と「保管方法」
遺言制度に関する見直し(2019年1月13日施行)
これまでの法律では遺言書の作成は「公証人に作成を依頼する(=高価)」か「全て自筆で作成する(=面倒)」しかなかったので、高齢者にとって非常にハードルが高いものでした。
今回の改正では「遺言書」の部分は手書きが必要ですが、それ以外の財産目録はPCで作成可能。通帳のコピーもOKになり、親族が作成の手助けをできるようになり負担軽減につながりました。
保管制度も開始(2020年7月10日施行予定)
保管制度が始まると、遺言書を法務局に預けられるようになります。預ける時に書類の不備がないかチェックしてもらえる上に、自宅保管で紛失の心配もなくなります。
今日のまとめ
相続税改正はいつから?基礎控除は?配偶者の優遇など主な変更点
今回の法改正は、高齢化社会や離婚率の上昇、多様化する生き方など家族構成が複雑になり、従来の法律では対処できない事例が増えてきたからと言われています。
普段は話題にしにくいかもしれませんが、今回の法改正や保険の話と絡めるとお互いの気持ちを伝えやすくなるはずです。
今のうちから少しずつ知識を増やし、いざという時に役立てていただければと思います。
◉ 相続税改正はいつから?もう始まっているって本当?
・2019年1月13日 「遺言書」の形式の緩和
・2019年 7月1日 ☆大部分が変わるタイミング
・2019年 4月1日 配偶者の居住権
・2020年 7月10日 法務局で遺言書の保管がスタート
◉ 相続税改正~配偶者の権利拡大(2020年4月1日施行予定)
・短期的な保護~配偶者短期居住権
・長期的な保護~配偶者の居住権の保護
◉ 相続税改正~義理の両親を介護した際、金銭で報われる(2019年7月1日施行)
・6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族
→ 例:長男の妻やおいやめいなど。友人は対象外。
◉ 自筆の遺言書の「形式」と「保管方法」
・遺言制度に関する見直し(2019年1月13日施行)
・保管制度も開始(2020年7月10日施行予定)
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